カンテサンス(フランス料理/北品川)
日本が誇るフレンチの雄

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最高の食事を求めるためだけに出掛ける場所

公共交通機関を使うならどこからも今ひとつ距離があり、ここに訪れる以外、他の用事が全くない立地である。

店内はモダンシンプルな造りで、席間もゆったりとし、静かに時間が流れている。


個室では無かったので、店内で許可された写真はこの一枚のみ。

プロローグ

食前酒を注文すると、食事を前にメニューを手渡される。おまかせとは言えワイン選択の手助けになる様に、この日の料理が記されているのだろうと思って開いてみると、そこには予想外の内容が。

メニューには岸田シェフの料理に対する理念が記されていた。プロデュイ、キュイソン、アセゾネ。

これを一読する事で、自然と食べ手がいま一度、襟を正して料理に向き合う姿勢になるだろう。
まさに岸田劇場のプロローグだと言える。

これを見て思い出した事がある。故ジョエル・ロブション氏が全盛期のジャマンで使っていたメニューだ。
懐かしい。そして、この喪失感。このイラストがロブション氏の料理哲学を現している。

意味合いは若干違うものの、抽象化したイラストではなく、明文化されている姿勢に心が躍る。

プロデュイ

これは素材を意味する。徹底的に拘った食材を扱っている事を先のメニューでは語られていた。
因みにロブション氏のイラストでは生がある動物の命を貰っているのだから、そのことに感謝を捧げ、最高の形で料理として表現しているいう趣旨のことを表している。

この日のメニューは比較的魚介類が多い構成であったが、その全てに目を見張るものがあった。

例えば、アミューズで供された明石のタコを使ったサブレ。この先制パンチを皮切りに、続々と楽しい驚愕を魅せつけてくれる。

極めつけは白子を使った冷菜だ。まるでヨーグルトの様な滑らかさ、凛とした上品な味わい。間違いなく特6クラスのものではないかと思われる。

キュイソン

こちらは火入れを意味する。いい素材に対して的確な火入れをしてやること。当たり前のことであるが、
これが岸田シェフの場合、尋常なこだわりではない。勿論これなくしては.次のキュイソンも成立しない。

アラン パッサール、パスカル バルボといった巨匠から脈々と続く、低温調理法を継承している。
最近ではラーメン店のチャーシューでも低温調理法を用いられる事が珍しくないが、器具には頼らない、実に根気がいる火入れを行う。

この日のメインはシャラン鴨。これを3時間掛けて、各種部位に少しずつ火を入れては転がしていく。
その結果、真冬にたっぷり脂身を蓄えた鴨肉がスリムアップし、表面のパリッとした部位が残り、芯肉は均一に赤みを帯びた状態になる。勿論、ドリップなど見当たらない。

メインの前に供された鰆の火入れも見事であった。

アセゾネ

これは味付けを意味する言葉。いい素材、いい火入れ、いい味付けがあって岸田ワールドは完結する。
どの料理も申し分ないのだが、アセゾネという点で最も象徴的だったのはブーダンノーワールだろうか。
添えられたフォアグラのポアレの影が霞んでしまうほど。

エピローグ

プロデュイ、キュイソン、アセゾネという3つの柱だけでは岸田シェフの世界観を十分に表現
しきれているとは思えない。これに構成力という要素が加わるのではないだろうか。

先の白子の冷菜には香箱蟹と香味野菜、ボタンエビを組み合わせる。
また、シャラン鴨には生落花生のフリットを添えるのだが、組み合わせの妙もさることながら、その相性たるや尋常ではない。

他にも、アミューズで供されたタルティーボと牛タンのスープ。弾むような食感だ。

スペシャリテの1つである山羊乳のババロアは、美味いオリーブオイルとチーズで脊髄がピンとする気がする。

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