老舗の高級洋食店
銀座三越新館の横にある。まるで三越の店舗の一部ではないかと思うほど。
古くからある洋食店で、かつて東芝ビルに支店があった頃はそれはそれは素晴らしかった。
本店では高3の年末に数の子の皮むき、海老の背わた取りなど、オセチ料理の仕込みのアルバイトをした時、最終日の打ち上げで仲間と訪れたことが思い出深い。ただこの頃からそれ以前と比べて少し精彩を欠いた印象を感じた。
メニュを眺めて店内に。
瀟洒な造りで優雅な時間が流れている。銀座の高級洋食店だけあって、この雰囲気は貴重な存在。
まず、料理が出てくるまでの時間つぶしにと、銀座百点という小冊子と共におしぼりやお茶が供された。
単品だけではなく、サラダが付く。そしてお新香が運ばれてきた。
この手の洋食店でお新香が出てくるところが面白い。それに日本茶やお新香、おしぼりといったサービスは昔はなかったのではないだろうか。そのおしぼりやお茶は食後に差し替えてくれるのだが、この辺りの気の利いたサービスは流石である。
ハヤシライス
ルーの色が薄い。事前に福神漬とらっきょうが出されていたこともあって、間違ってカレーを持ってきたのではないかと勘ぐってしまったほど。
まろやかな口当たりで全体的にこなれた味わいではあるが、たまねぎと思われる甘みが支配的。デミグラスソースの存在感がほとんど感じれられないのでコクが弱く物足りなさが残る。これはデミグラスソースを前面に押し出した直球勝負ができないことの裏返しのように思えてならない。
ラーメンやとんかつなどはここ最近、進化が目覚ましい料理だと思うのだが、その点、洋食に関しては衰退していると感じてしまう。かつて双璧をなした洋食店をはじめ評判が高いお店でもデミグラスソース作りの手間暇を惜しんでいるところが多いように感じる。それ位いいデミグラスソースに出会えない。
古き良き思い出のまま洋食の灯火が消えないことを切に願う。そのためにもこのような老舗にこそ先頭に立ってもりたてて欲しいものだ。