さりげない佇まい
築地本願寺の正面から真っ直ぐに渡れる横断歩道がないので少し遠回りする必要があるが、本願寺の正面から真っ直ぐ銀座方面に進んだ場所にさりげなく暖簾を掲げている。
お店の先はT字路になっているため、意外と人通りが少なく、実際、この界隈にはよく足を運ぶが、これまでその存在に気が付かなかった。
ただならぬ気配を感じたので、日を改めて訪問した次第。
店内は小体な造りで、席数は多くないが、カウンター席が用意されているので、ひとりでも気兼ねなく入ることができる。勿論、テーブル席もあるが、あまり大人数で出掛けるには向かない。出来れば二人、多くても四人までが限界だろう。
メニュー
酒肴がなかなかの充実ぶり。定番メニューの他に、季節の品々も用意されている。
残念ながら天ぷらがない点が惜しまれる。天ぷらは技術が要るが、半端なものは出したくない。そんな店主の考えがあってのことなのだろう。
お酒の品揃えもなかなかのこだわりが窺える。
そして主役のおそばのメニュー
まずはこちらで喉を潤す。ハートランドの生があるのは嬉しい。
おまかせ五点盛り
柿酢、板わさ、もも焼き、茎わさびの漬物クリームチーズ添え、焼きししゃもと言う内容。
バラエティに富んでいて楽しい。この中では、もも焼きがいい。
このラインナップだと日本酒を頼まない訳にはいかない。という事で日高見の超辛を。
あおさ海苔の出し巻き卵 中
ふんわりとして、滑らかな食感が印象的。やんわりと出汁の旨味を含み、あおさ海苔が香る。
かなり出来がいい。
もり
北海道産のそば粉を使った十割蕎麦はやや緑掛かった色彩を帯びている。
立体感のある盛り付けが見た目にも美しく食欲を誘う。
噛めばほんのりと甘い。つゆはしっかりと出汁が効いているが、やや軽め。藪ほどとは言わないがもう少し濃いめの方がこのそばには合いそうな気がする。
薬味は本わさびと辛味大根のみ。本わさびの使用もさることながら敢えてねぎを添えないところはポイントが高い。質が高いそばには邪魔になるだけで、そば湯の肥やしになるだけである。
鴨芹せいろ
ついつい気に入って2週連続で訪問してしまった。鴨せいろは甘めのものが多いのであまり積極的に注文しないが、こちらの鴨せいろはストイックと味わいでいい。特にこの料理ではネギを使わずに敢えて芹を使うところに料理人のセンスの良さを感じる。
つゆはもりそばのつゆの流れを汲んでいるため、少し軽いものの、芹のほろ苦さが鴨肉の野趣溢れる魅力を引き立たせてくれる。また、良質な芹は根の部分が一番甘いのだが、その点もきちんとわきまえている。
テイクアウト
もも焼きとそば味噌はテイクアウトすることが出来るのだが、これがなかなかいい。
今年の年越しそばはこちらに決定。