帝釈天を横目に見て
柴又駅から参道を通って帝釈天の門前まで行き、そこから更に3分ほど。
通りから少し入った路地にひっそりと暖簾を掲げている。
入口のところにキノコが。一見美味しそうに見えるが、どうなんだろう?
開店と同時に到着。ほぼ週末しか営業していないお店だけに行列を心配したが杞憂に終わった。
店内は小ぢんまりとした造りながら天井が高く、温もりが感じられる雰囲気で寛げる。これならついつい長っ尻になってしまいそう。それだけに並ぶと結構待たされることになるのは想像にかたくない。
端からそのつもりだが、まずはビールを。恵比寿かキリンのチョイスで後者を。こちらは一番搾りではなくハートランド。付け合せには揚げそば。硬すぎず香ばしい。
メニューを見るとそばもそば前も目移りしてしまう品々が並ぶ。
なごり雪
数量限定の冷奴。ねっとりとした食感でそのまま頂いても豆乳の濃厚な香りが感じられる。塩を付けると旨味が増し、えごま油や醤油などそれぞれに楽しめる。結局、塩+えごま油に醤油をひとたらしが良かった。
途中から堪らず日本酒にスイッチ。これにはお通しとしてちりめん山椒が供される。これが驚くほど柔らかく塩味も穏やかでお酒にはこの上なく合う。聞けば自家製なんだとか。普通のちりめん山椒だと塩味や山椒のアクセントが強く日本酒が負けてしまうのだが、これは日本酒にベストマッチ。
他にも、気になる肴はあったのだが、おそばを2種類と考えていたので次回の楽しみに。
田舎蕎麦
何とも朴訥としたいい面構え。約みやネギと大根おろしのみ。塩が添えられているところが面白い。
そばは靭やかでもっちりとした食感。そばの甘みも感じられてとても美味しい。ますはそのままでもそばの香りが味わえるし、塩をつけるとより香りが増幅される。つゆとの相性もいい。
焙煎蕎麦
こちらは最上級の丸抜きを焙煎して粗挽きしたもので、水そばともりという形で供される。
水そばはかつて、会津若松で頂いて以来。純粋にそばの香りと旨味を味わって欲しいという店主のメッセージが感じられる。
食感はざらっとしているので喉越しを求める方には不向きなそばであるが、焙煎された独特の香ばしさが面白い。田舎蕎麦もいいが、こちらはこちらで味わい深く甲乙つけがたい。
そば湯はほんのりと甘く、そば粉の質の高さが感じられる。
肴はひと品のボリュームが結構あるのでひとりには不向き。板わさや玉子焼きは2人以上の方がいい。
そばがきも気になるし、せいろも頂いていないので結構な宿題を残しての退散となった。