本店ならばと期待して
東京を代表する洋食屋の一軒。
かつては新宿でブラッスリー香味屋と言う支店を展開していた。広い店内はカフェバーを思わせる落ち着いた空間で、本店と比べても遜色がないほどの質の高い洋食を食べさせてくれていた。
その店舗はいつしか伊勢丹のレストラン街に移リ、その後、わずかな月日で新宿の街から姿を消すことに。
当時、ブラッスリー香味屋は他にも何店舗か展開されていたが、どの店舗もその頃から料理は精彩を欠き、かつての面影は影を潜めていた。
こうなると行くならば本店しかない。当時からそんな思いを募らせていたものの、なかなか行く機会に恵まれず幾年月が過ぎて今回が久しぶりの訪問となった。
久しぶりの訪問
店内は1階と2階の2つのフロアがあるが、この日は2階席に通された。
天井が高く、席間もゆったりと取られているので開放感があって寛げる雰囲気で、重厚すぎる訳ではないが、これまで培ってきた歴史の年輪を感じさせる空気が流れる。
メニュー
大人版お子様ランチとも言える洋食弁当が目を引く。
これは昔から本店のみで供されていたメニューだと記憶している。
その他のメニュー
この日のお目当はデミグラスソースである。なので、ハンバーグ。これは確定だ。
しかし、揚げ物に未練がないではない。メンチカツが美味しいのは知っている。
メニューをよく見るとハーフサイズのカキフライがあったので、これも追加で頂く事に。
まずはこちらで胃袋を刺激しつつ料理の登場を待つことに。
カキフライ(ハーフ)
小ぢんまりとしたお皿で供された。
カキそのものの粒も小さい。衣はパン粉のキメが細かく、油切れがいいのでサラリとした口当たりで上々の出来映え。
断面はこんな感じ。
これは使っている牡蠣そのものの素材の特性だとは思うが、小ぶりなせいかジューシーさはそれほど感じ
られない。ただし、火の通しは申し分なく、これならばメンチカツも間違いがないだろう。
ハンバーグ
こちらも予想に反して小ぶりなお皿で供された。
ますはナイフを一刀。
ジュワーと肉汁が溢れ出る。しかし、昔の方が勢いよく出ていた様に感じた。
というのも、こんなに肉汁が出るんだと感動した記憶があるのだが、残念ながらそこまでには至らない。
さあ、肝心のデミグラソースである。
これも昔の比較からすると随分とサラリとした印象だ。
じっくり味わってみるとちゃんとフォンの旨味は感じられて丁寧に作られたものとわかる。
しかし、かつてはもっと濃密でどっしりと地に足がついていた。
時代に合わせて軽めのソースに変化したのか、たまたま作りたてに近いものだったのかは知る由もないが。
かつての良い頃に比べるとまだ物足りなさを感じてしまうが、本店だから払拭されたものはあった。
先にも触れた他の支店で失望したのは何よりデミグラスソースのレトルト感。それがなかっただけでも本店に来た甲斐はあった。
色々調べてみると現在は支店は全て畳んでしまった様で、元の道に戻り再出発している様だ。
また、先に取り上げた新宿のブラッスリー香味屋も独立して別の名前となって伊勢丹で営業している模様。