少々わかりづらい
駅からは少し離れた場所にあり、電車の降り口を間違えるとかなり遠回りをする事になるので注意が必要。
低層のオフィスビルやマンションが建ち並ぶエリアで、まわりに飲食店はごくわずか。そんな一角にあるビルの地下にお店を構えている。
こちらの看板が目印。
階段を降りていくと予約表が貼られていて、ここに順番を書き込むシステムの様だ。
こうなると普段、近隣で働く人でないと訪れるのが難しそうだ。この日はたまたま悪天候だったため、幸運?にもすんなりと入る事が出来た。
扉を開けて店内に入ると目の前にコの字型のカウンターが広がる。席数は13席のみ。お店は女性店主とアルバイトの方と2名で切り盛りしている。
メニュー
メニューは「かつお食堂ごはん」と「かつおめし」の2種類のみ。
前者はおみそ汁、削りたてかつおぶしごはん、だしたまご、お新香と出汁の一品が付く。
一方、かつおめしはここからだしたまごを除いたもの。折角なので、かつお食堂ごはんを注文。
カウンターの真ん中に設えられた鰹節削り器。
おかずの準備が整ったところで、並んでいる鰹節からひとつを選り分け、削り始めた。シュコ、シュコと言う凛とした音が何とも心地よく、どことなく荘厳な雰囲気に背筋が伸びる。
かつお食堂ごはん
そのかつお節がたっぷりと乗ったごはんがこのお店の定食のメインディッシュだ。この日の鰹節は鹿児島県指宿市の坂井商店の一本釣りによる本枯節。
お味噌汁が少し遅れて供されたため、全体の写真は残念ながら撮ることができなかった。それにしても、なかなか迫力がある見た目である。
思い切り箸を入れたいところだが、この盛りだと溢れてしまいそうで、なかなか攻略が難しい。仕方なく鰹節だけ頂くと、薄く削られた鰹節は口当たりが優しく、上品な味わい。因みに今回、削ってくれた鰹節は背の部分を使ったもの。
かき氷のように、慎重にちょっとずつ食べ進めるとようやくご飯に遭遇した。
そして遅れて味噌汁が登場
かつお出汁がしっかりと効いた素朴な美味しさ。具だくさんなので貴重なおかずになる。
だしたまご
出汁の味わいと言う点ではこちらの方が濃厚で、たまごの緩さ加減がいい塩梅で、変に甘さすぎないところに好感が持てる。これは外せない逸品だ。これをベースに親子丼や玉子とじにしたらどれだけ美味しいだろうと思う。
お漬物
きゅうりのぬか漬けは浸かり方、香りともに秀逸で個人的にはかなり好きなタイプ。山芋のお漬物などどれも脇役以上の働きをしている。これだけあれば後はかつおごはんでいいでしょう、という考えには頷ける。
追いかつお
ご飯になかなか到達しなかった分、割と早くかつお節が底をつく。その間、だしたまごやお新香で食べ進め、追いかつおをお願いした。
今度は腹の部分が供された。少し脂分が多くコクがあって力強い。
ほとんど、かつお節だけで頂いたが、最後に少しこちらの醤油を掛けて頂いた。
かつおぶしごはんがメインなのだから仕方ないとは思うが、ひと品、動物性タンパク質が欲しくなる。
唯一、惜しむべきはごはんで、既に冷めていたこと。これが意としてのことかはわからないが、アツアツのご飯の上でかつおぶしが踊り、蒸気を吸って少ししっとりして食べやすくなる姿を思い浮かべていただけにちょっと残念。硬めに炊かれたご飯も温度の影響でより強調されているように感じた。