色々と変わってしまった
火事でリニューアルされてからは今回が初めての訪問。日曜日のお昼時。雨だったのでさほど混んでいないだろうと高を括っていたが、10人以上の列。そう言えば以前も行列店で有名なことをすっかり忘れていた。
かつて、近隣に「いし井」というそば屋が出来たのを境にすっかり足が遠のいてしまったからもうかれこれ20年ぶりくらいになるだろうか。
20分ほど待ってようやく店内に入ると、広い空間にテーブルと小上がりがあって趣きがある。以前だと、店内に入ると「いらっしゃいー」という独特な節回しの声が響いていたものだが、変わってしまったようだ。
そば前
まずはビールを。お通しとしてねりみそが供される。甘辛い味付けの味噌だが、そばの実は入っていないため、そばみそではない。やっぱり味噌にはそばの実がないと。
そば前のメニューは色々と充実しているが、少々高めの価格設定。最初は天ぷらか玉子焼きあたりを考えていたのだが、あれこれ思案しているとあるメニューに目が留まった。
天ぬき
混雑を考えると驚くほど早く供された。感覚的には3分ほど。白磁の器が凛として美しい。
いわゆる天ぷらそばのそばが無いもの。蓋を開けるとかき揚げがどんと鎮座している。
少し衣が過多なので、汁に浸かるのはかえってデフォルメされていい。堪らず日本酒を注文。
天ぷらの油が溶け出したつゆがいい肴になってくれて、普通の天ぷら以上に愉しめる。具材にかまぼこが入っているのもちょっと得した気分。
せいろうそば
こちらのせいろうは量が少ない代名詞的な存在であったが、随分、以前よりも量がある様に感じられた。
葉緑素を打ち込んだ緑がかった見た目は以前と同様だが、緑度がすこし弱くなった様だ。すこし乾き気味で、表面にざらつきがあったのでのどごしの良さは残念ながら感じられなかった。
つゆは藪系のお店なので濃いのは当たり前なのだが、以前よりも薄く、甘みが強くなった印象を受けた。
何だか色々と変わってしまったという印象が強かったが、天ぬきは収穫だった。